世界はエッチで出来ている

ぜんぶのフラグを立てにいこう!

上野の某マッサージ店について

最近、お気に入りで通っているマッサージ(メンズエステ)店がある。

女の子がとびきり可愛いかというと、そんなことはないし
マッサージがメチャメチャうまいわけでもないのだけれど
終わったあとは、最高に満ち足りた気持ちになる。

いつも90分のVIPコースを頼むことにしている

何がVIPかというと、部屋がVIPなのだ。
マンションの一室に案内され、そこでサービスを受けることになる。

働いているのはみな中国人で
でも、とても愛想がよく、作業的ではない。
なかでもひとり、お気に入りがいて
いつもその子を指名することにしている。

マンションなので、シャワーは浴室で浴びる

薄手の服でミニスカートの女の子に、体を洗って貰えるのだが
こっちは全裸にならなければならない。

お湯の張っていない小さな浴槽に立ち
全裸で、服を着た女性に洗体してもらうのは
いつも、すこし恥ずかしい。

「恥ずかしがらないでいいのよー」

女の子はそう言って笑う。

男のペニスなど見慣れているのだろう
まるで水着を着た僕を洗うみたいに
隅々まで、両手を滑らせる。

ときどきアクシデントみたいに、スベスベの手が
僕の裏筋を、スッとすり抜ける。

「かわいいね」

女の子はそう言って笑う。
何が可愛いのかは、決して口にしない。

布団にうつ伏せになると、お尻にタオルをかけられる

そこから念入りなマッサージがはじまる。
きちんと力が入っていて、かなり気持ちいい。

首筋、腰、それから足は片方ずつ
しっかりとマッサージされると、かなり疲れが和らぐ。

えっちな素振りは少しも見せず、きちんとマッサージを完遂してくれる。
ここまででたっぷりと、40分くらい。

女の子は、しっかりと体重をかけながらも
ときおり優しく話しかけてくれる。

「お兄さん、凝ってるね」

「仕事、忙しいの?」

中国人だが、みんな日本語が堪能だし
わからない日本語は、その度に意味を尋ねてくれる。
日本語の意味を教えるのも楽しい。

おしりのタオルは少しずつズレていく

でも、あくまで業務上、仕方なくズレていくだけだ。
おしりをマッサージされるのは、純粋な意味で気持ちいい。

でも、強いマッサージでアナルが押し広げられているのは事実だ。
やがて暖かい手で、アナルの周辺をマッサージされると
否が応でも、勃起してくる。

女の子の手は、やがて股の間に伸びてくる。
アナルとペニスのちょうど間、足の付け根を親指で押されると
勃起したペニスが、布団にめり込んでしまう。

そうして指圧が終わると、次はオイルマッサージだ。

オイルが体に垂らされる感覚がたまらなく好きだ

まずは背中、トロリと垂らされたオイルは
暖かい手で優しく伸ばされる。

腰から肩へと両手が上がっていき
そして、するりと下がっていく。

その際、アナルギリギリに指先が触れるのだが
それはあくまでも偶然だ。
両手は同じ動きを繰り返す。

肉体的な気持ちよさに包まれると、性的な気持ちよさが遠ざかり
性的な気持ちよさの予感があると、肉体的気持ちよさから遠ざかり

それを何度も繰り返していると
どうしたらいいかわからなくなってくる。

なぜだろう、心が切なさに包まれるのだ。

そしてオイルはアナルに垂らされる

マッサージされているのは腰なのに、オイルが垂らされるのはアナル。
たらりと伝っていくオイルは、そのままに放置される。

オイル、マッサージ、オイル、マッサージと繰り返されていく。
玉のあたりにはオイルの水たまりができている。

女の子のように濡れているのではないかと錯覚する。

しかし、暖かい手はオイルを掬ってくれない。
ただアナル付近から、腰へと動くだけなのだ。

それが10分近く繰り返される

すると突然、手が離れてしまう

これで終わりなんだろうか、一瞬不安になったところで
女の子の全身が、僕の背中に優しく乗るのだ。

オイルで服が汚れてしまうことなど、まるで気にしていない。
体重は手で支えたまま、服の感触が背中を刺激する。

耳元に、顔が近づけられる。
悩まし気な息遣いが、耳たぶの後ろを刺激する。

「仰向けになる?」

女の子が、なぜか疑問形で聞いてくる。
言われるままに仰向けになると
女の子の顔が、すぐ近くにある。

暖かい手が、するりとペニスを掴む

イタズラっぽい笑みを浮かべる女の子。
その手はすぐに離れてしまう。

しごいてくれるのを期待するが、そのときはなかなかやってこない。

次は乳首に手が伸びる。
でも、またすぐに離れる。
そしてアナルへ。
でもまたすぐに離れてしまう。

気づいたら、切ない表情になってしまう。
それを見て

「かわいいね」

女の子が言う。

「入れたいな」

僕が言うと、女の子は返す。

「ダメよ」

その直後、言葉とは裏腹に、女の子は腰を落とす。

女の子の薄いパンツの布が、ペニスの先に触れる。
思わず反応してしまう。

僕が腰を少し浮かせると、女の子は腰を引いてしまう。
諦めて腰を落とすと、今度はパンツの布が触れる。

再び浮かせると、やはり腰を引いてしまう。
イキたくてたまらなくなるのだが、女の子はそれを許してくれない。

それを十回ほど繰り返した後のことだった。
僕が腰を上げたタイミングで、なんと女の子が腰を落としてきたのだ。

パンツにペニスがめり込む。

薄い布は、だいぶ湿っている。
女の子の顔は、まだ僕の耳元にあって、小さく吐息を漏らす。

そのまま押し付けてくるので、パンツ越しに亀頭の先っぽが
明らかに膣の中に挿入されている。

すると女の子は腰の動きを変え、さらにグリグリと減り込ませてくる。
亀頭がすっぽりと包まれ、じんわりと暖かい。

僕たちは、薄い布越しに、明らかにセックスをしている。
でも女の子は、それを認めない。

「お兄さん、ダメよ、スケベね」

そう耳元で囁く。
それなのに、さらにグリグリと押し付けてくる。

女の子は手を、そっとペニスの近くに寄せる

裏筋を撫で上げながら、膣に何度もペニスを近づける。

何度も、何度も。

ほどなくして、僕は精液をぶちまける。

自分でもびっくりするくらいの量が出る。
女の子のパンツは、僕の白濁液で濡れてしまい、彼女はそれを脱いでゴミ箱に捨てながら言う。

「ほんとに、スケベね」

この店は女の子によってプレイスタイルが異なる。

いい意味でマニュアル化されていないのだ。

だから、出会って服を脱がしてもらいながら、流れで即尺する子もいたし
こっちが服を脱ぐ前に、自分のパンツを脱ぎ捨て
仰向けでマッサージしながら素股に近い行為を繰り返す子もいた。

でも僕は、この女の子が一番のお気に入りだ。

仕事で疲れた日は、ついつい通ってしまう。

気持ちいいって何だっけ

若い頃は本当に、誰とでもいいからセックスしたかった。

体験そのものを渇望していたし、チャンスがあればした。

 
それで幾人かの友人を失ったりもした。
いま考えればバカなことをしたなぁと思うのだけれど
時間は巻き戻せないのだから仕方がない。
 
でもようやく最近になって、ほんの少しばかりわかってきた。
気持ちのいいセックスと、そうでないセックスというのがあるのだ。
 

そんなの当たり前だと思うかもしれない

でも、そう思っているあなたは
気持ちのいいセックスの条件を挙げられるだろうか?
その条件から外れたセックスは、気持ちよくないと断言できるだろうか?
 
僕は少なくとも、断言できなかった。
だから何度も、様々な人とセックスをしては、考えを深化させてきた。
 
そうするなかで、少しは答えに近づけたかなと思っているのだけれど。
 

セックスの気持ちよさは、感情ベクトルの強さに比例する(向きは問わない)

自分が辿りついたのは、この考え方だった。
 
たとえば相手のことを強く愛していたとする。
それは強いベクトルだから、そのぶんセックスは気持ちがよいだろう。
 
相手の体型に興奮していたとすれば、それもまた強いベクトルとして換算してよい。
 
知らない他人より、友達とのセックスの方が気持ちいいのも
感情のベクトルが強くなるからだ。
 

ベクトルはマイナス方向に振れていたって構わない

たとえば、友達の彼女とのセックスには特筆し難い気持ちよさがある。
背徳感が強く影響するからだ。
 
その友達がすぐ近くで寝ていたりすると、なおさら気持ちいい。
 
街中でミニスカートの下のパンツを脱がせるのだって最高に興奮するし
してはいけない場所で服を脱いだり、脱がせたり、挿入したりしているのも
たまらなく気持ちいい。
 

でも、ベクトルは強くなればなるほどにコア化する

あらゆるエンタメがそうであるように。
 
昔、ボンバーマンをコントローラーを逆に持って対戦したことを思い出す。
とても面白かったけれど、商品にはなり得ない遊びであった。
 
セックスもまた、ボンバーマンと同じように、ひとりではできない。
だからパートナーを見極める必要がある。
 
自分と同じベクトルの強さを、求めている相手を
求めているタイミングで見つけ出す。
 
それが難しい。

ハプニングバー(ハプバー)のススメ

週2回のペースで、丸一年間通ってみて、たくさんのことを体験した。

 

幸せな日もあったし、そうでない日もあった。
それでも通い続けたのは、はじめの日が刺激的すぎたからだと思う。
 
まずはその日のことを、体験談として書いておきたい。
 
でも、ただのエロい話にはしたくない。
これは実践的に学んだ、コミュニケーションのメソッドだ。
 
 

確か店に着いたのは夜の10時頃だった。

人はまばらだったけれど、せっかくこういう場所に来たんだから
コミュニケーションをとらなきゃと思って、積極的に話しかけたのを覚えている。
 
店のスタッフはみんないい人で、揃ってイケメンなんだけど
気さくに話しかけてくれたので、緊張もほぐれた。
 
スタッフに導かれるままに、あるカップルと一緒の席になった。
男性の方は気の強い感じの、でも少し無理をして気の強さを演じているような人で
彼女に対して何かと強気に発言していた。
 
一方で女性の方は
あなたなんかがこんなところに来てもいいんですか? と
聞きたくなるくらいに美しかった。
 
肩まで伸びた髪が美しく、比較的細身で
おっぱいが小さいのがコンプレックスだと言っていた。
 
むしろ手に収まりやすい、素敵なサイズだと思った。
それを伝えると、彼女はとても喜んでくれた。
 
「この人はそんなこと、絶対に言ってくれないよー!」
 
そう言って、隣に座っていた彼氏の肩を叩いた。
 
それを見て、なんだか二人でじゃれあいに来てるみたいだな、と思った。
 
少し話がズレるけれど、その後も何度か通う中で
こういったカップルをたくさん見た。
特に女性の方が、男性にいちゃつくような素振りをしきりに見せるのだ。
 
こういった場合
 •照れ隠しなのか
 •こっちを避けたいと思っているのか
どちらなのかを見極める必要がある。
 
そのためには、男性の方と会話をしてみるのが一番だ。
照れ隠しだった場合、女性は話に入ってくるし
避けたいと思われていたら無視される。
 
女性に避けられていると感じたら、すっと身を引くのが一番だ。
お互いに、無駄な時間を使う必要はないのだから。
 

男の側に寝取られ趣味があるということがわかったのは、30分ほど話した後のことだった。

わかりますよ、その気持ち! と話が盛り上がった。
どんな場所でも、コミュニケーションの基本は共感なのだ。
 
僕は、普段はなかなか発揮できないそのメソッドを
なぜだろう、この場所では十分に生かせていた。
ここが現実と離れた地下だからだろうか。
目の前にいる相手が、もう二度と会うことのない相手だったからだろうか。
 
今になって思い返すと、旅の恥はかき捨て、という言葉が
そのときの心境に一番フィットするように思う。
 
なにか失敗したとして、恥をかいたとして
失うものは限りなくゼロに近い、という事実が
自分を大胆にさせていた。
 
本当は、こういう場所じゃなくてもそういうもんだけど、なかなか割り切れるものではない。
 
男性と話しながら、僕は
〈寝取られっていうのは相手を愛しているからこそ生まれてくる感情なんだ〉
ということを、特に強く強調する話運びをした。
 
「こんなに可愛い彼女だと、寝取られたら堪らない気持ちになるでしょうね」
 
そう言って、男性に話しかけながら女性を持ち上げると
 
「えー、可愛いだなんてお世辞言わなくてもいいよー」
 
と、女性の方も乗ってきた。
 
笑顔がとても素敵だった。
その口元を見ながら、フェラチオされるところを想像して
僕は少し勃起していた。
 
「嘘じゃないですよ」
 
そう言って真っ直ぐに目を見ながら
彼氏に見えないように手に触れる。
 
彼女は拒否しなかった。
だがら僕は、彼女の手を取って
ズボン越しに自分のペニスの上に持ってきた。
 
「ほら、嘘じゃない。立ってるでしょ?」
 
そういうと
 
「ほんとだ」
 
彼女は呟くように言うのだった。
 
男はトイレに行くと言い残し、席を立った。
きっと彼女を抱いてもらいたいと思っていて、そのために気を利かせたのだろう。
 
もしそうでないとしても、そう思い込もうと思った。
彼の了解は取れたのだから、あとは彼女を連れ込めればいい。
 
彼がいない間、僕たちは見つめあった。
唇に触れ、少しだけ近づけ、そして離れた。
 

キスをしたのは男が帰ってきてからのことだ。

キス直前までの雰囲気を男がいない間に作っておき
男に見せつけるようにキスをした。
 
正確に言うのなら
〈男が「やめろよ」と止めないことを、女に見せつけるように〉
キスをしたのだ。
 
彼女と男の間には、明らかな主従関係が見て取れた。
だからこそ自分は、女性が抱いているであろう
次のふたつの懸念を晴らさなければならないと思っていた。
 
その懸念とは
 •男のプライドが保てるか
 •男の許可が得られるか
このふたつである。
 
ひとつ目は、会話の中で解消できた。
三人の会話における、自分の立ち位置、順列を
常に意識し続けるだけでよかった。
 
男、自分、女の順になるよう、発言をコントロールするのだ。
たとえば男に対して敬語を使い、女に対してフレンドリーに話す。
 
そしてふたつ目の懸念を晴らすのが、このキスだった。
 

大切なのはゴールをどこに据えるかだ。

人とコミュニケーションを取るとき、目的をどこに置くのかは
とても重要な決めになってくる。
 
下心を出して「この女とセックスしよう」というゴールを設定する男は多い。
 
でも本当のゴールはもっと手前にある。
人によるところもあるけれど、ほとんどの場合
キスをすることができれば、その先は揺らがなくなる。
 
一方で、キスが許されて、セックスが拒否されることはほとんどない。
 
でも、セックスを目的にするのと、キスを目的にするのでは
行動が大きく異なってくる。
 
たとえば、セックスの前には胸を触るかもしれない。
でもキスの前に胸を触る必要はない。
 
自分の好意を言葉を尽くして伝えたら
手をつなぎ、指を絡ませ、肩を抱き寄せ、見つめあう。
 
その視線も、セックスを求めるそれと、キスを求めるそれは大きく異なる。
女性は違いを、敏感に感じとる。
 

この店は地下が特別なスペースになっている

そこに連れ込む=ヤレる、ということなのだが
ルールを知らなかった僕は少し戸惑った。
 
トイレに立ったついでにスタッフにヒアリングしたりしながら
仕入れたばかりの情報を当たり前のように駆使するのは、幾分大変だった。
 
こういったルールが幾つかの設定されているため
常連になるほど立ち回りやすくなるし
そもそもスタッフも常連にはよくしてくれる。
 
ここもまたバーである以上
売り上げの8割を2割の顧客が稼ぎ出しているのであろう。
 
地下には三人で行った。
マットレスが全面に敷かれた、天井の低い空間だ。
部屋が3つほどあり、それぞれの部屋を結ぶ通路のような場所から
マジックミラーで中を覗くことができる。
 
たぶん女性は、マジックミラーの存在に気づいていなかったと思うし
気づかせないようにした。
 
他人に見られる可能性があることに嫌悪感を覚える女性は多いし
そういった人のためにミラーのない部屋も用意されている。
 
でも、今回はミラーがどうしても必要だった。
 
天井が低いから、必然的にみんな床に座ることになる。
女性の服をゆっくりと脱がしていくと
 
「え、いきなり?」
 
と少し驚いた様子だったが
 
「ダメ?」
 
と訊くと
 
「ダメじゃ、ないけど」
 
そう言って顔を伏せる。
 
ゆっくりと上から服を脱がす。
はじめは恥ずかしそうにしていたが、次第に熱っぽい視線を見せるようになる。
 
小ぶりなおっぱいが露わになると、恥ずかしそうに
 
「ごめんね、小さくて」
 
と言う。
 
「ううん、これくらいが一番好き」
 
真っ直ぐに目を見て言うと、何かのスイッチが入ったのか
一層熱っぽい視線で、唇を近づけてくる。
 
横から男性が言う。
 
「おい、お前も脱がしてやれよ」
 
女性が僕の服に手を掛ける。
その間、僕は女性の乳首を優しく愛撫する。
 
「舐めてやれよ」
 
男が言い、彼女はそれに従って、
顔を僕のペニスに近づけるのだった。
 
シャワーは用意されていて、ここに来る前に入ってもよかったのだが
 
「シャワー、どうする?」
 
僕が尋ねたとき、彼女が
 
「気にする?」
 
と逆に尋ねてきたので
 
「ううん、全然」
 
そう受け答えをして、直接ここに来てしまった。
たぶんお互いに、この高ぶった雰囲気を消してしまいたくなかったのだ。
 
彼女はしばらく顔を近づけていた。匂いを嗅がれているのだろうか。
 
ペロリとひとなめした直後、ねっとりと濃厚なフェラチオがはじまった。
玉を舐め、裏筋を舌が這い、全体が口の中に包まれる。
 
その間、僕はずっと女性のアタマを撫でていた。
 

なにより重要なのは「優しさ」である

なぜなら相手は今日会ったばかりなのだ。
女性にとって一番恐怖なのは、乱暴にされることだろう。
 
だから、とにかく優しさをアピールする。
手マンの前には触ってもいい? と尋ね
痛かったら言ってね、という一言も忘れない。
 
たとえ乱暴に犯されるのが好きな子がいても
挿入までは優しくしておいた方がいい。
相手のMっ気を掻き立てたいとしても、言葉だけにしておいた方がいい。
 
行動は、あくまでジェントルに。
それを僕は、海外から来た友達に教えられ、ここで実践した。
効果はてきめんだった。
 
「入れたいんだろ?」
 
男が言う。
 
「…うん」
 
彼女が言うと
 
「じゃあ、自分でお願いしな」
 
男が返す。
 
「えー…」
 
彼女はそう言うと、僕の方に向かって言った。
 
「お願い、入れて?」
 
「何を?」
 
僕が訊くと
 
「いじわるー」
 
と言いながら、両腕を僕の首に回し、耳元で囁く。
 
「ねえ、お願いだから」
 
「お願いだから、なに?」
 
「入れてほしいの」
 
「何を?」
 
「だからぁ」
 
彼女は左腕を降ろし、僕のペニスを優しく握ると、耳元で言う。
 
「…これ」
 
堪らずキスをする。
もう僕らは二人だけの世界にいて、男は多分
疎外感を感じていただろう。
 
そして、そのきっかけを作ったのは男である。
だからこそ、僕はこれ以上ないくらいにキツく女を抱きしめる。
 
男の方を気にする視線を視線を遮るように
僕は服のはだけた女を押し倒し、残りの服を全て剥ぎ取る。
 
上で男と約束していたというのと、店自体のルールということもあって
僕は部屋に備えられていたコンドームを手に取り、封をあける。
 

男は部屋を出ていく

たぶんそれをきっかけにして、女は僕を
さらにキツく抱きしめてくる。
 
「ねえ、名前教えて」
 
甘ったるい声で言う。
 
僕は、この店に入る前に決めさせられた
ハンドルネームのようなものを教えたのだが「それじゃイヤ」と言われる。
 
「ほんとの名前、教えて」
 
僕が自分の名前を耳元で囁くと
女は、まるで昔からの友達であったかのように親しげに呼びかけてきた。
 
そして、内緒の言葉を囁くように言う。
 
「つけなくていいよ」
 
男と僕が約束していたのを、彼女も聞いていたはずだった。
 
病気とか、そういうのが恐くなかったと言ったら嘘になるけれど
でも目の前の女の子の可愛さと、柔らかい体から発される欲求を
はねのけることはできなかった。
 
 

女は僕の名前を何度も呼ぶ

下を弄ると、ビショビショに濡れている。

マットレスの上には、既に小さな湖ができていた。

 
「おっぱい吸って…」
 
言われるがままに、唇をつける。
 
「もっと強く…」
 
強く吸う。
 
「もっと! もっと!!」
 
千切れるんじゃないかというくらいに強く吸うと
「あああああ」と、大きな声を出す。
 
おそらくミラーの向こうでは、男が見ているだろう。
 
「もう入れて! お願い、入れてよぉ!」
 
今度は大声で叫ぶ。
男はそれを、たぶん聞いている。どんな顔をしているだろう。
 
僕は態勢を変えて、座位を選ぶ。
マジックミラーに背を向け、女の表情が鏡の向こうから見えるようにする。
 
女は自分から膝立ちになる。
 
僕は女の腰に手を当てる。
ゆっくりと導くように腰を落とさせると、ペニスの先に入口が当たる。
そのまま、しばらく焦らす。
 
「生で入れちゃうよ」
 
「うん、ほしいのぉ」
 
「鏡で自分の顔みて。えっちな顔してるから」
 
「いやぁ…」
 
ペニスの先を当てた入口から、トロトロの愛液が漏れてきて
ペニスを伝って落ちてくる。
 
「自分の顔、みてて」
 
僕はそう言うと、女の腰に当てた手で、ゆっくりと腰を落とさせる。
ゆっくりと、ゆっくりと、ペニスが暖かさに包まれる。
 
「ああっ… 気持ちいい…」
 
女は喘ぐ。
 
やがてペニスが奥までたどり着くと、僕は言う。
 
「マジックミラーになってるの、知ってた?」
 
「え? ええっ?」
 
「多分彼氏、外から見てるよ」
 
「いやぁぁー!」
 
その瞬間から、僕は女を押し倒し、強くピストン運動をはじめる。
びっくりするくらいに大きな声で喘ぐ女。
強い締めつけに、僕はすぐ我慢できなくなってしまう。
 
スッと腰を引くと、ペニスが離れる。
 
「どうして!? いやだよー」
 
そう言って女が腰を近づけてくるので、もう一度ペニスが入ってしまう。
 
「いっちゃうよ」
 
僕が言うと
 
「外で…出してね」
 
女は言うのだが、腰を引こうとしても足で締めつけてくる。
 
「だめ、出ちゃうよ」
 
僕は耳元で囁くのだが
 
「ああっ、やめて、離れないで」
 
さらに足の締めつけは強くなる。
それでも中で出しちゃいけないと、懸命に引き剥がし、ペニスを抜くと
手で愛撫の続きをする。
 
「ああっ、ダメっ、いくっ、いくっ!」
 
女がそう言って痙攣しはじめたので、再びペニスを突っ込んで激しく動く。
女の痙攣はさらに激しくなる。
 
「彼氏が見てるよ」
 
喘ぎ声がさらに大きくなる。
 
「彼氏とどっちが気持ちいい?」
 
「ああっ、どっちも、気持ちいいよぉ」
 
「今の方が気持ちいいでしょ?」
 
「うん、今までで、一番気持ちいいっ!」
  

セックスが終わってから

僕はしばらく、女を抱きしめていた。
女は、はじめは息を整えていたのだが、次第に落ち着いてきて
それから少しだけ泣いた。
 
「ありがとう」
 
女が言ったので、僕は
 
「先に、上に行ってようか? 彼氏呼んでくる?」
 
と尋ねる。
女が頷いたので、僕は静かに離れ、また上でね、と言い残して部屋を出た。
 

ここまでで終わっていたら、僕もハマりはしなかっただろう

でも、本当に凄かったのはここからだった。
僕とセックスをしたこのカップルと、それからやってきた別のカップルが
場を想像以上の空間に変えていったのだ。
 
その話は、また後日。